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小さな恋の結末
この SSは、『四畳半』のあとの話です。先に『四畳半』を読んで貰うといいかもしれません。
────1時間後に来てください。部屋で待ってます。千早
ケータイのメールを彼に送って、シャワーを浴びる私。
湯船に肩を沈めながら、あと1時間もあるのだとしょんぼりしている自分に気づく。
だけど、気づくと同時に意識してしまって、これから起こるだろう出来事に胸の動悸が少しずつ早くなる。
自分の心の隙間を埋めてくれるのは、やっぱり……彼しかいない。
……すっかり暗くなった街並みを見下ろすホテルの最上階。
ドアがノックされた。待ち望んだ瞬間。
「千早……入るぞ?」
「プロデューサー?……どうぞ……入ってください」
地方公演のステージが終わって、今日はホテルに泊まることになった私たち。
広い街並みがキラキラと光を放って、昼間とは違う幻想的な風景を見せてくれていた。
彼は私との約束を果たすために逢引してくれている。
「あの……先にシャワー浴びちゃいました……」
「い、いや、うん……そう、だよね……」
バスタオルだけを巻いた私。中途半端に乾いた髪の毛が首筋に少し絡まっている。
彼にシャワーを勧めて、ベッドに座りながら私は一人窓の外を眺めていた。
そう。小さなアパートで一緒に暮らした、遠い過去のような日々のことをぼんやり思い出す。
そして……二人で買った銀のリングに誓ったことを。
あのときの私の行動は最低だったと思う。でも……私は復活した。彼のおかげで。
そして、そのとき誓った通り、二人でトップへの階段を駆け上がろうと日々努力している。
そんな私から、彼に一通のメールを送ったのは ついこの間のことだった。
──誕生日に行なわれるコンサート……無事に成功したら、プロデューサーに貰って欲しいものがあります。
バスタオル姿で座る私。バスローブ姿の彼が出てくる。隣に腰掛けられて……私は自分から白いシーツに飛び込んだ。
彼と見つめあって……笑う。お互いを隔てるのは、ふわふわしたタオルだけ。
昔はなんでもなかったのに緊張している私。たぶん、これからの行為を想像して頬を赤らめている。
もちろん緊張しているだろう彼も──精一杯の強がりかもしれないが──私の頬に手を置いて優しく撫でてくれた。
自分の手を彼の手に重ねて微笑む私。
「ちゅっ……」
頬に寄せた彼の手をゆっくりと口内に導く。
舌先で人差し指をゆっくりと舐め、水音と共に唇を開く私。
「……はぁ…………ふふっ」
恥ずかしいけど……指先をじっと見つめて、また口に含む。
両手でしっかりと彼の左手を握り締めて口を半開きにして濡れた指先にキスをする。
人差し指、中指、薬指……一本ずつ丁寧に口に運んで濡らしてゆく私の視界がぼやける。瞳が潤んでいるのはうれしいから?
そんな私の行動を間近で見せられて、彼は戸惑ったまま……結局、いつものように頭を撫でてくれた。
濃いブルーのロングヘアが、ライトの薄暗いオレンジに照らされて綺麗だよ、と言ってくれながら。
汗ばんでいないだろうか……でも、ベッドの中なんだし、当然か。
「髪、触られるの……好きなんです……もっと、触ってもらっても……いい、ですか?」
彼の手を握り締めたままの私は呟く。鼻と鼻がくっつくほどの距離で、上目遣いに彼を見つめながら。
一番緊張しているのは、やっぱり彼のほうだと思う。心臓がドキドキとするのが聴こえるほどの圧迫感。
「ふふっ……ステージに立つときより、私も……」
握っていた彼の左手を、そっと自分の胸に当てる。小さい私の乳房の奥から心音が響く。
と、髪を撫でていた彼の右手が止まってしまう。少し寂しく思って、不思議と、彼を見上げてしまう私。
「プロデューサー?」
「あ、ああ……あ、あの……こういうの、その……初めてでな…………えっと、情けない……」
彼のあまりにも情けなさそうな様子に私も微笑む。そして彼が髪を撫でていた手に そっと手を重ねる。
瞳を閉じてしばらく手を触る。そして、今度はそちらの手を唇の前に持ってくる。
「私も、同じぐらい緊張しています……私だって初めてですし……」
そう言うと、また口内に彼の指を含んで舐めてしまう。
「プロデューサーの指……もっと舐めていたいんです……ふふっ、私、変ですよね」
そんな私のうれしそうな顔を見て、彼は左手を動かしておでこに当ててくれる。
そして、前髪をかき上げてキス。撫でて、もう一度……キス。
目を大きく開いて驚く私を見つめて、彼も呟く。
「俺も……千早に舐められるの、好きだよ……」
今度は私の動きが止まる。唇を半分開いたまま、あっけにとられてしまう……。
その隙を突いて、彼は私を抱き寄せてしまった。一気に縮まる私たちの距離。
もう既に私たちの心は離れられない位置だった。心と同じ位置に身体も来ただけのこと。
「千早……」
「……プロデューサー」
瞳を閉じて彼の次の行動を待つ私。いつもは迷いに迷う彼の行動も……今日は、この瞬間は。選択肢はひとつに違いない。
──唇と唇が触れ合う
私にとって初めてのキス。触れるだけの軽いキス。
瞳を開いた私は彼を見つめて……また視界がぼやけた。
「ファーストキス……だけじゃなくて、セカンドキスも、全部、全部…………」
その言葉に、彼は体勢を変えて私にのしかかるように膝をつく。ちょうど、彼の真下に私がすっぽり収まってしまう。
両腕が肩越しにそびえ立ち、組み伏せるような格好に緊張する私。そのまま彼は私の頭を抱いて、激しくキスしてくれる。
舌先で唇を舐められると、ゆっくりと重なった唇が自然と開いてしまって……思わず彼の舌を受け入れてしまう。
「んぅ……んぅんっ……」
舌を絡められると、驚いた私の声が漏れる。
彼は気にせずそのまま舌と舌を絡めながら吸っていく。
「んんっ!!んっ、んーっ!!」
苦しそうな私の声を無視して力いっぱい舌を吸い、息が続かなくなったところで彼のほうから唇を離した。
派手な水音が耳に響いて、私は恍惚とした表情で息を荒げる。
「はぁっ……はぁっ……っ…………ひどいです、プロデューサー……」
不思議と、そんなことを言いながらも、彼の首に両腕を伸ばして甘えてしまう。
私に応えるように、彼はもう一度唇を重ねてくれた。
今度は優しく、舌を絡めて口内をくすぐってくれる。
唇を舌でなぞり、舌先を少し吸い、また唇を濡らして……繰り返しの愛撫。
舌先に銀の糸がかかる……なんて表現は必要ないほど唇が離れることがない彼の熱いキス。
唇が離れると、私の荒い息だけが響く。
「はぁっ……はぁっ…………こんなの、初めてです……」
彼は微笑みながら、バスタオルの上に手を置いて、もう一度おでこにキス。
そして私の胸を触り始める。
「私、小さくて……その……」
「はは、揉むと大きくなるらしいよ?あと、女性ホルモンがたくさん出るといいって聞いたけど?」
私をからかうような普段の言葉。でも、その言葉は優しく私の耳に溶けていく。
その間も、私の乳房は優しい愛撫に形を変える。
小さな私の乳房は、バスタオルの上からぐにゃぐにゃと彼の手によって歪められる。
気持ちの昂ぶりが抑えられずに、私はもぞもぞとバスタオルをはだけさせる。
生まれたままの姿、上半身だけだけど。
彼に見られていると思うと心が熱くなって、下腹部の辺りがきゅーっと緊張する。
私のその行為に、彼は驚きながらも優しく両手で乳房を揉んでくれる。
「直接…………触っ……はぁ…… ぁぁ……」
ため息しか漏れない私。
彼に触られているだけで快感が湧き出してくる。
自己主張し始めた私の柔らかい突起も彼は摘んでくれた。
ゆっくりと顔が落ちて、乳房にキスの雨が降る。
舌先が私の乳房に円を描いては先っぽの突起を吸う。そんな彼の動きに、私は震えるしかなかった。
「ぁぁ……恥ずかしいで…………す……ぅぅん」
その間も彼の舌先は私の乳房を攻め立て、息は荒くなるばかり。
気持ちがどんどん昂ぶって下腹部がギュッと熱くなり、もじもじと足を動かす。
バスタオルで包まれた最後の砦は決壊寸前で、もしも彼の手が伸びたら……私はどうなってしまうんだろう。
彼の舌先が乳房をゆっくりと離れてお腹に下りる。
腰を抱いておへその辺りを舌が通り、そのまま私の大事な部分の直前まで来た。
でも、そこで立ち止まる彼の動き。
「キス……してもいいかな?」
私の目の前に帰ってきた彼の言葉。
潤んだ瞳で彼を見つめる。彼を失うのが怖い。だからこの瞬間に安心する。彼は私の側にいる。
首を思いっきり抱きしめて唇を奪うと私から彼の舌を吸った。
「んぅっ!!んっ…………ぷはっ……はぁっ……ぷろでゅーさぁ……」
なんで私はこんな涙目なんだろう。
なんで私はこんなに彼のことを好きなんだろう。
なんで私は……。
微笑みながら何も言わずに頭を撫でてくれる彼。
「うぅ……ひどいです、私だけこんな気持ちで……私、もう胸が張り裂けそうで……」
頬にキス。おでこにキス。乳房にキス。肩にキス。唇にキス。首筋にキス。胸元にキス。私の身体にキスの雨が降り注ぐ。
ぐちゃぐちゃの顔に何度目かのキス。泣きじゃくる彼は呟いた。
「千早……触るよ」
首を抱いたまま、私は泣くことが止まらずに激しく首を縦に振るしかなかった。
すでにバスタオルははだけて、私の大事な部分は熱く彼を待ちわびていた。……そこに彼の腕が伸びる。
「んん……んんーっ」
彼の指がそっと撫でるだけで私の身体はどうにかなってしまいそうな感覚に囚われる。
恥ずかしいのに自然と足から力が抜けてしまう。その間に彼の膝が私の足の間に割り込んで、閉じられなくなってしまった。
私の大事な部分を彼の指が上下に撫でる。そのたびに熱い気持ちが漏れ出して、私の口から零れ落ちる。
「ぁぁ……ぷろでゅーさぁ……ぁぁぁ……ぁぅぅっ!」
赤ん坊のように、私は甘えた声を出すしかなかった。
指が上下するたびに、私は情けない声を出しながらしがみつく。
「ぁぅ、ぁぁっ!あんっ、ぁぁぁっ…………んんーっ」
私の、誰も受け入れたことのない秘所の扉が開かれて、彼の指がゆっくり挿入される。
指先は膣内に、指の関節がクリトリスに。
彼の指を受け入れた感動と気持ちよさに、私はただ震えるしかなかった。
「千早のここ……熱いよ……」
彼が呟いてため息をつく。指を引き抜いて大事な部分の周りを撫でて、また挿入してくる。
繰り返しながら乳房や首筋にキスされると、もっと濡れる私の大事なところ。
指で何度も犯される私は、徐々に彼を受け入れる準備を整えていく。
そして、ついに力なく投げ出された両足を広げられて、彼がその間に膝で立った。
……この瞬間を……ずっと。
待ち望んでいたこととはいえ、震える私を気遣って、彼は耳元で囁いてくれる。
「……痛かったら、止めるから」
──そんな言葉、私に無意味だって気づいてないの?
もちろん私の答えは決まっている。
「私……はぁ、んっ、痛くても、我慢するから……はぁっ……お願い……私をあなたのものに、して……ください」
最高に恥ずかしい言葉……絶対言おう、と心に決めてなければ言えなかった。
彼のものになりたい。世のフェミニストは言うだろうか?「女性はモノじゃない」って。
でも、本心から、彼に支配されたい。この時間だけは。今の、この瞬間だけは。
「はぁ……っ、あぁ、ぁの……私、この瞬間をずっと…………待ってました」
その言葉が終わると、彼の大きくそそり立った…………それが私にじわじわと打ち込まれる。
鈍い痛みが下腹部に広がり、私は圧迫感と痛みに耐える。
いくら好きな人のものでも、こんなに痛いのを我慢するなんて……。今にも声を上げて叫びだしそう。
気がつけば、彼の首に抱きついて必死に背中を抱きしめていた。
肩越しに爪が食い込むぐらいの力で、ジンジンと痛む私の大事なところが蹂躙されていくのを耐える。
息も絶え絶えに、私は耳元で呟く。
「っはぁっ……お願いっ!ぁぅっ!!……止めないでっ!!私に貴方を感じさせてっ!っ、あぁぁぁっ!!」
私の膣内は彼の侵入を拒むように痛みと言う警告を発し続ける。
でも……じわじわと彼は入り込んで私を満たしていく。
そして……私の下腹部に彼がくっつくのを感じる。
「千早……」
「ぷろでゅーさぁ……私ぃ……ぅぅぅ、私ぃ……」
ピクピクと彼が私の膣内で震える。さっきの痛みがウソのような充足感と暖かさ。
と、同時にだらしなく両足を広げた私の姿が恥ずかしくなる。
でも……足を閉じられない。だって、彼がいるから。
しばらく痛みが引くまで、私は彼と見つめあったまま背中の爪痕を撫でていた。
私が痛いからって彼まで痛い思いをさせたことに不安を覚えていると、優しく微笑んで呟く。
「痛かったんだろう?背中の痛みに比べたら、千早の痛みなんて……」
そう言って、撫でてくれる。
もう……なんでそんな風に……私の胸が熱くなって、同時に下腹部にも伝染する。
「動いて……ください……私、我慢するから…………プロデューサーの、その……」
彼がコクリと頷いて、ゆっくり腰が引かれる。
身体が引っ張られるような感覚に息を呑むと、同時に彼の腰が私にぶつかる。
「ぁぁぁぁっ!!ぁっ、ぅんっ!ぁっ、ぁあぅ!」
打ち込まれるたびに痛みと快感がごちゃ混ぜになった感情が胸の奥から湧き出す。
シーツをギュッっと握って痛みに耐える。
でも、瞳は開いたまま、彼の表情を見つめる。
視界はぼやけて涙で溢れている。それでも見ていたい。彼の、その気持ちよさそうな表情を。
私が、世界で一番、彼のことを愛しているから……もっと気持ちよくなって欲しい。
「っ、あぁぁぁっ!あんっ、ぁっ、ぅんっ!あぁっ!ぁゃんっ!」
恥ずかしいけど声もたくさん出して、私の快感を彼に伝える。
私、今、貴方に世界で一番、気持ちよくして貰ってるんだから……。
「ち、千早っ!ごめんっ、ごめんっ、痛いだろ?でもっ、ごめん……止まらないっ!」
「いっぁっ、い、いいっ、のっ!私、私っ、ぷろっ!ぷろでゅーっ!!ぅぁっ、あ、貴方の、貴方を、ぁぁっ!」
痛みと快感と何もかもがぐちゃぐちゃで何を言っているのか自分でも理解できない。
彼の動きが早くなったり遅くなったり、明らかに変わってきた。
もちろん、私の膣内でも異変に気づいている。
もうすぐ……彼が私の中に……。
「お願いっ!ぁっ、あぁぁ!な、膣内、なかにっ!そのまま、っああん!」
「千早っ!千早っ!くっ……ぅぁぁぁ!」
その瞬間、私の膣内で彼のものが……爆発するように太く膨らむのを感じた。
その感覚に驚くと同時に、熱いものが私の膣内を満たしていく……。
彼は、私の上にのしかかるように倒れる。
大きく肩で息をしながら、汗ばんだ私の髪の毛を撫でてくれる。
「千早、ごめん……俺だけ気持ちよくなっちゃって……その……」
私にのしかかったまま彼が呟く。確かに、私は達してないけど……いいの。
「……いいえ……身体はそうかもしれませんが……心は満たされて……」
私の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちていた。
あの四畳半の部屋から、ずっと望んでいたこの瞬間……それが叶ったからこそ流す涙。
「……当たり前の言葉すぎて……ごめんなさい…………私、とっても幸せ……です……」
ふと、目を覚ますと窓の外の景色は青く美しく広がっている。朝日が昇る直前の、シンと静かな寂しい街並み。
ボーッとする頭で握った手の温もりを感じる。あぁ……そうだ、彼が居るんだ。彼は私を受け入れてくれたんだ。
彼は起き上がってじっと窓の外を見ている。私を支えてくれた横顔は何を見つめているんだろう。
寂しいと呟くたびに、彼は朝焼けのように私の心を暖かく染めてくれた……いつかは太陽のような笑顔で彼と笑いあえる気がする。
ホテルの窓から見下ろす景色が、オレンジに染まる朝焼けまでもうすぐだろう……。
握った手を今だけは離したくない。力をこめると、彼は私を振り向いてくれる。
そして、彼は私の頬にキスをして……相変わらず……微笑みながら何も言わずに頭を撫でてくれた。
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