俺の料理、彼の料理  〜 わたし作る人、ぼく食べる人 〜



 FFIX、一年以上前にここで予想した通りの印象だったので特にあらためて書くことはないんですが、ちょっと気になったのは、また巷で狂信者とアンチ派との例によって例のごとくの論争が始まってること。


 「あんなゲームはクソだ!!」

 「だったら自分で作ってみろ!!」


 まあどっちもどっちという気はしますが、救いようがないほどわかってねェのは後者のほうです。

 私はIXに関しては肯定派なんでVIIIのほうを例にとりますが、あの作品はいわば最高の料理人たちと最高級の食材を使い、「FF」というテーマを「愛」で甘く仕上げた

『トリュフと伊勢エビと雪印アイスのジャンボパフェ・金箔入りウスターソースあえ』

といったシロモノです。ちなみにメインに相当する雪印アイスってのはリノアのこと。毒。

 ……で、もしこれを作ってみろと言われたら、ここはいさぎよく認めますが、作れません。

 私の能力では絶対に無理です。

 でもそれはそれとして、「こんな料理を作ってみたいか」と問われたらそりゃあ作りたくないです。

 だってマズイってわかりきってるもの。

 百歩譲って他人が作るのは勝手だけども、奮発して一流レストランに入って料理を注文してみたらあろうことかソレが出てきて、

 「さあ食え! そして美味いと言え!!」 とか強要された日には、

 ぜったい嫌という気持ちにウソ偽りなど一片もございません。

 JAROに審査してもらってもいいです。



 金を払っている以上、作り手と受け手の立場は明確に別れているんであって、客はコックさんの台所事情を知っていようがいまいが、自分の料理の腕がどの程度であろうが、出された料理を評価する権利はあるのです。

 それなのにどうも最近、まるで同業者のことばかり意識しすぎているような作り手が増えてきてるよね。

 他と比べてどんなに斬新なシステムを作ろうが、自分の理想を実現しようが、コストつぎこんで一般人がわからないような域までCGを強化しようが、ユーザーがついてこれなきゃ意味ないんだってば。

誰に向かってゲームを売ってるのよ。



 んでまぁこういうことを書いているとまた、

「お前が何を言おうとFFVIIIは売れてるんだバカめ!」

 とかいう人が出てくるんだけど、これまた筋の通らない理屈。

 買う買わないの判断は、前作までの評判とか広告によって決まるので、中身の良し悪しとはあまり関係ありません。大作になればなるほどそうです。

 そもそもその一作だけがとりあえず売れさえすればOKとはなんとも詐欺まがいのバッタ屋的思考で、本当の商売人なら多少 利益率を犠牲にしてでも一品一品のクオリティを大切にするもんです。

 長い目で見ればそれがブランドイメージの向上や客層の拡大につながることを知っているからです。

 だからこそ問題のスクウェア自身も、VIIIに対する不満をくんでIXの路線をああいうふうにしたり、CMで8のシーンだけ1コマにしてみたりしてるわけでね。

 いやしくも 「ゲーム制作は商売だ」 などと口にする以上は、

 あらゆる商売の基本であるところの「お客様は神様」という意識を忘れずにいてほしいもんだと思います。以上。



   
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