ブレインデッド
 (原題 Braindead / Dead-Alive) 1992年 ニュージーランド作品


本年のアカデミー賞大本命!”ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還”
その監督である”ピータ・ジャクソン”の過去を知るものはミーハー映画ファンにはいないだろう。

ピーター・ジャクソンはニュージーランドの新聞社でバイトを続け、市役所勤めの仲間達と共に5年もの歳月掛けて1本の自主制作映画を生み出した。
監督のジャクソン自身が脚本、主題歌、主演他、あらゆる役割を兼任した、まさに同人(インディーズ)映画。

その名も”バッドテイスト”
名前のとおり”悪食”をテ−マ(?)とした映画で、
地球人をファーストフードの材料にする為に飛来した宇宙人の侵略に対抗する特殊部隊の活躍 を描く、オゲレツバカSFホラー映画の傑作だ。

       

ジャクソン監督自ら扮する主人公”デレク”は人間に化けた侵略宇宙人(単に汚い格好をした人間)との交戦中に崖から落ちて頭部を強打!
脳味噌がこぼれてしまい発狂する。

悲鳴を上げつつ、こぼれた脳味噌や他のものを傷口から詰め込んでベルトで固定し、チェーンソーを振り回しながら宇宙人に襲い掛かる主人公。

これじゃ、どっちが人鬼なんだか分からない!!


ただの家に偽装したUFOに潜んでいた地球侵略作戦の指揮官(と言っても単なる外食チェーンの中間管理職。仕入れ部署担当。一応、唯一のキグルミキャラ)を
くり抜いた宇宙人の皮に包まりながら、ただの電話にしか見えない通信機で宇宙人の本星に
「今から皆しに行くからな!」
と嬉しそうに叫ぶラストシーンがなんとも言えませんでした。

畳み掛けるようなスピーディーで個性的かつ、意表をつく展開。
そして、強烈なブラックジョークの数々。
私の勘では、この人もきっとモンティパイソンの信者であるに違いない!!

そんな傑作だが日本ではビデオバブルの頃に”たけし軍団”の吹替えで、しれっと他のダメ馬鹿映画と共に売り出され、特に評価もされず埋没したが、私は入手した時より作品が作られた経緯と努力と根性に感心し、”最強の同人映画”と賞賛。
その溢れるセンスと情熱に、ただただ心酔した。

こんな映画を分って撮れてるこの人は、天才に違いない!!
しかし、よく見ないとただただオゲレツな酷い低予算・・・いや無予算映画。
多分、この人は表舞台にも出る事もなく消えるのだろうなと思ったら・・・
なんとメジャデビューしちゃったよ!
やっぱり見る目がある人はいると言うことだろう。


前置きが長くなったが、このブレイン・デッド
そんなピーター・ジャクソンのメジャーデビュー作である。
(間にミート・ザ・フィーブルという人形劇映画も撮っているが、こちらがメジャーデビュー作)

    
微妙なエロスを感じるパッケージで、その筋の人にはたまらないかも知れませんね。

しかし、前もって一つ言っておきたい。

この映画はバッド・テイストのノリを引き継いだ
”大量の流体を玩具にするブラックジョークの満貫全席” であり、これらを笑って許せて、正視出来ないと”かなり酷い映画”であると言う事を!!

この二つを我慢できても、気持ち悪くなる人もいるだろう、強烈に面白いが、同時に強烈にグロい映画なのだ。
しかし、それにも関わらず私は大好きなのだが!!

理由はシンプル!

この映画が面白いと思うから!!

では、本編の解説へと入らせて頂こう。



時は1957年!

スマトラ島の西南にあるという伝説の島”スカル島”
世界中でこの島にだけ存在する黒魔術によりサルとネズミを掛け合わせた
”呪いの珍獣 ラットモンキー”
を捕獲しに来た探検家は捕獲に成功するものの、メチャメチャステレオタイプの原住民(あなたの今想像したそれです!多分・・・)に襲われる。

探検家は見事逃げ果せるが、その際ラットモンキーに噛まれてしまう。
それを見た同行の現地ガイド達の表情が一変。
「ダメだ・・・切らないと」 と鉈で噛まれた右手をスパーン!!
恐怖から来る狂気に包まれた彼らは、左肩にも噛み傷を見つけると左腕をスパーン!!
そして、額にも噛み傷を見つけた彼らは・・・

「もう、助からない」首をスパーン!!

冒頭の5分、これは本当に怖い!

怖いです!!

ガイドの人たちの狂気の演技が異常に迫力があって!!

この映画を本当に怖いホラー映画が見たくて見ている人は期待は膨らむばかりでしょう。

あの原住民のデザインは何かの間違いだったに違いありません。

そんな期待を持って見続けた人は、大きな後悔か、大きな喜びを感じるでしょう。


きっと!



さて、金がどうしても欲しかったのか現地ガイド達は当初の予定どうり、ラットモンキーをニュージーランドのとある街の動物園に売りつけてしまいます。

その街に暮らす結婚願望丸出しのストアの看板娘(ラテン系)”パキータ”は「近々現れる男に一目目惚れして、熱烈な恋愛のすえ、一生を共にできる」と祖母から占われます。
  
そんな彼女は占いが全部終わってもない内に、たまたま来店した少し主体性のない母親孝行息子
”ライオネル””に運命を感じ、一目惚れ。
  
祖母の占いを信じてパキータは老け顔のライオネルにベタ惚れしちゃて、以降は激しくアタックします。
(ああ、本末転倒)

それはさておき、母親孝行の息子と言う事はライオネルにはママンがいると言う事。
ライオネルのママンというのは性格極悪で性悪の”ベス””(ちょっと ”野村沙知代似”
どのくらい極悪かというと、
親孝行息子の無心の愛を逆手に取り、いたぶりまくってます。

買い物から帰って来た息子を「ゴキブリがいたわ。家中に虫剤を撒けと言って置いたはずよ」となじり、家中に虫剤を撒かせ、自分は何もしないくせに家中を綺麗にするように散々命令します。

挙句に庭の芝刈りをさせるわ、息子がパキータと楽しそうに話しているのを見るとわざと花瓶を割って掃除させるわ、息子が掃除する端からゴミを撒くわ・・・
実に息子に対して、
シンデレラの継母に勝るとも劣らない意地悪の限りを尽くすベスママン。
独占欲が強く、底意地が悪く、子供は親の所有物と考える彼女にとってはそれが愛情なのです。
しかも、折を見ては「父親が溺れんだのはライオネルを助けようとしたせい」だと
情に訴える事も忘れない狡猾さ!
まさに”カリスマイヤーンママン”
そんな訳で生来の人の良さも手伝って、いい年こいてもライオネルは自立できません。

そんなママンは巨大な肉切り包丁をペーパーナイフに使うという素敵な技を見せてくれます。


そういうママンですから、ライオネルがパキータとのデートにこっそりと出掛けて行くのを見逃す訳がありません。
趣味の悪い眼鏡と帽子で変装し、ますます野村沙知代似になると、動物園でデートする息子を虐め様とストーキングします。

しかし、そんなママンにも終に天罰が下る時が来ました。
ラットモンキーが隣の檻のサルの腕を引きちぎって食べるのを目撃してしまい気分が悪くなったパキータを介抱している息子を良く見ようと、ラットモンキーの檻に近付いたベスママンは腕をガブリとやられてしまいます!

動物園中に響き渡る悲鳴を上げてママンは逆上、ラットモンキーをブチのめし

グシャ!

ヒールで踏みにじると瞬してしまいます。

性悪ママンには呪われた伝説の珍獣ですら、相手にはなりません!!

一撃です!

です!

母親に媚を売ろうと傷の手当てをしようとするパキータを振り払い、ライオネルに家に連れ帰るように強請るママンを連れ帰るライオネル。
当然、家に帰ればパキータに対する罵詈雑言です。
とりあえずママンを寝かしつけ、一息ついた所にそのパキータが襲撃!

テラスにいるライネルに壁を登って会いに来るという逆”ロミオとジュリエット”
ラテンのがなせる業でしょうか?
彼女はその大胆な行動を「あなたと私は結ばれる運命」電波系の言葉で説明して誘惑すると、そのままライオネルの部屋にもつれ込みます。

一夜明けて、昨夜はパキータとお楽しみだったライオネルがママンを起こしに行くと様子がおかしいです。
いや、おかしいのは元々なんですが・・・、なんていうか

・顔色が体みたい。

・言葉がまともに喋れません。

・噛まれた跡がグニャグニャと気味悪く蠢いてます。

さて、以上の症例に当てはまる病気は・・・
なんでしょう?




(答え:きっと、ものすごくヤバイ病気)

とにかく、寝かしつけようとするライオネルに 女性福祉委員会の会長が食事に来るからと気味の悪い声を上げながら起き上がるママン。
性根が腐り果てているので、名誉の為には周囲にどんな迷惑が掛ろうと気にはしません。
孝行息子は母の願いを聞き届ける為に努力します。
が・・・震える手でメイクをするママンの顔からは皮膚が剥げてタレ下がリ始めます。

「何とかしてくれ」と無体な事を言うママンの願いにライオネルは・・・

          
はがれた皮を接着剤で肉に直接、貼り付けます!

それでいいのかライオネル!!

何とかママンの体裁を整え、御馳走をつくり、会長夫妻をもてなすライオネル。

途中、ママンが
客の肉まで奪って骨ごと食ったり、
膿が飛んで会長の夫のカスタードに入ったり、
ポロリと取れた自分の耳を料理と一緒に食べていましたが・・・

孝行息子の必至のフォローのお陰で会長の夫にはバレませんでした。

会長には異常な事が起こっているのがバレバレで、それで気持ち悪くなって帰ってったんですがね。


どうにか誤魔化せたと一息ついた所に電波系暴走ロマンス娘パキータが「気を付けて、あなたに暗黒の魔力が迫っているわ」と雪崩れ込んできます。
ライオネルには気の休まる暇もありません。
(見ている方も)

そんな風に祖母の占いの結果をライオネルに話していると階上から、パキータの愛犬フェルナンドの鳴き声とママンの悲鳴が!!

慌てて、二階に上がった二人が見たものは、何かを喉に詰めてのた打ち回ってるママン。
慌ててライオネルはママンの喉に引っかかった何かを引き出すと・・・。

ずるずるずる・・・

それは・・・フェルナンド君の変わり果てた姿。

「犬を食べちゃうなんて!」

「大丈夫、全部じゃない・・・」


そういう問題じゃないだろ!!
ああ、可愛い犬がい姿に・・・。

それでも飽き足らず、襲い掛かって来るママンと縺れ合ってライオネル、階段を転落。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ・・・

階段ゴロゴロ転がって、まるで蒲田行進曲。

「ぎ、銀ちゃ〜〜〜ん」
(若い人は知らないか・・・)

動かなくなったヤス・・・じゃなくてベスを診察した看護婦さんはを宣告。
いや、まあ・・・元々、んでたんでしょうけど・・・。
突然?の母のに悲しみにくれるライオネルを優しく励ます看護婦さん。
美人じゃない上に小太りでトウがたった看護婦さんですが、まさに白衣の天使です。

そんな彼女をいきなり起き上がって、背後から
ラーメンマンのようなスタンディングキャメルクラッチを掛けるママン!

呪われた珍獣を瞬した事といい、ママンはやっぱり武闘派です!!

そのまま、看護婦さんのクビは真っ二つにヘシ折って、うなじの部分だけで繋がっているという例えでなく”首の皮一枚で繋がった状態”にしちゃいます。

とりあえず看護婦さんをバラしたママンの次のターゲットはライオネルです。
襲い来るママンとくんずほぐれつしながら、入院の準備をしてるパキータの質問にも答えるライオネル。

「お母さんの歯ブラシの色は白? それとも緑?」

「み、みどり・・・」

余裕だなライオネル・・・。

しかし、そんな余裕も長くはかましてられません。
看護婦さんも生き返って(?)襲ってきました。
折れた首が背中にぶら下がっているので彼女の視点は上下逆に描かれているのが傑作です!!

乱闘の挙句、ライオネルは何とか2人(?)を地下の倉庫へと叩き落します。



頭の弱いパキータにはママンは準備をしてくれている間に入院したと、何とか誤魔化したものの、あの凶暴な2人を何とかしなければなりません。
思案したライオネルは何を考えているのか動物病院に行きます。

「鎮静剤はありませんか?」
動物病院に入るライオネルに前に現れたのは、うきうきと満面の笑みを浮かべて動物の解体をしている怪しい獣医。
  
イッちゃた目をしたこの医者は、ライオネルを移民局の役人と勘違いし「私はナチに追われたラトビアからの移民だ」と主張しますが、ドイツ訛りで喋り、名前もハインリッヒ。
白衣の破けた所からは鉤十字の腕章まで見えます。


こいつ自身が間違いなくナチです!!
(戦中行方不明になったゲシュタポ長官”ハインリッヒ・ミューラー”なのでしょうか?)
ともかく、この医者ただの脇役なのにメチャメチャ怪しいです!!

話しても埒があかないので金をちらつかせると、ナチの行進で近付いて来て、嬉しそうに鉗子で札を挟んで受け取り

「私、ハインリッヒは実に物分りがよい」

と、トランキライザー(精神安定剤)を分けてくれます。



さて、こんな薬を手に入れて、どうするかと言えば・・・
当然、2人に注射するのです!
強暴なら、精神安定剤で落ち着かせれば良い・・・のかそれで!?

ライオネルの目論見どうり、なぜかゾンビにはトランキライザーが効いて、大人しくなりました。

やはり鍵十字印の薬品は世界いちぃ・・・ゲホゲホ・・・

しかしまぁ、これでライオネルも一安心!!
久しぶりに自由を満喫し、パキータの店でダベるライオネル。
ついでにパキータの婆ちゃんに占ってもらって「に囲まれ、前途にあるのは苦痛と苦しみ」なんていう縁起でもない事を言われてお守りを渡されたりしますが・・・。

母親の事を聞くパキータに
「2、3日入院している・・・」
と言い訳したところに、タイミングよく窓を突き破って路面電車に跳ね飛ばされた
ママンがシュートイン!!

慌ててライオネル、なぜか持ち歩いてたトランキライザーを慌てて注射して大人しくします。
駆けつける野次馬に言い訳するライオネル。

「予定外の退院だ・・・」
こうして、衆人環視の中で動かなくなったママンはやっと葬儀に出されます。


しかし、葬儀の参列者の中にまた濃いキャラが!!
それはエルビス・プレスリーを肥満漢にしたようなライオネルの叔父貴”レス” その頃、ライオネルは教会の霊安室で、暴れだしたママンを取り押さえる為に取っ組み合い。

神父様の祈りの「神を信じるものは神のお力によって、復活します」の言葉に合わせ窓を突き破って登場!!

叔父貴、それを見て大喜び!!

ライオネルはトコトン身内に恵まれてません。



こうして無事(?)ママンは埋葬されましたが、そこはそれ
アレだけパワフルなママンが土葬されたくらいで大人しくなる訳がありません!

そう思ったライオネルは、深夜の墓地に様子を見に来ます。

しかし、なぜか夜の墓地にはヤンキーどもがたむろしてたのです。
ママンの葬儀の時の騒ぎは既に巷では有名なのか「こいつはマザコンの上に体が好きだ。やっちまえ!」と、 ”マザーファッカーでネクロフィリア”の疑いを掛けられて、ボコられちゃいます。

そんな息子のピンチを救うため・・・の訳がないでしょうが、墓を突き破って復活するママン!
ヤンキーリーダーを墓石の上に引き寄せると、胸を引き裂き、害。
墓石の上でピストン運動をしながら息絶えるヤンキーリーダー。
驚いて逃げ出すヤンキーどもを手当たり次第に次々と害、あたりはあっという間に体の山。
当然、体は速やかにゾンビ化。
ライオネル、この数では勝ち目がありません。

万事休すか!?




その時・・・!





「出たな悪霊ども!神に変わって成敗してやる!」

高い所で東映ヒーローの様にポーズを決めているのは、
あの
神父様!

言うのを忘れてましたが、この神父様、レスリー・ニールセンに似ています。

個人的にはジョージ・ペッパード(特攻野郎Aチームのジョン・ハン二バル・スミス大佐役と言えば分ってもらえるか?)にブルース・リーを足して2で割らない感じ。

”ゾンビ”に”神父”・・・。
大抵の人は”神の力”でゾンビを倒す手助けをしてくれるんだろうと思うのではないでしょうか?
これからの主人公の”良き協力者”として、一緒にゾンビを退治してくれるに違いありません!




違います!

そんなありきたりではありません。


「とぉ〜〜〜〜!!」 雄叫びを上げて飛び降り、神父様はゾンビ共をなぎ倒すとポーズを決めます。

では、ここで続きのセリフを神父様に言って頂きましょう。





「私の蹴り技を受けてみろ!!」



げえっ〜〜〜! 蹴り!?

退魔じゃありません。

聖水とかじゃなくて




”蹴り”です!!


そう言うが早いか、テコンドー系の華麗なる蹴り技により、次々とゾンビを葬り去る神父様。

足ビンタで倒されるゾンビなんてバカ香港映画でも見た事ありません!!

この神父様のアクションは上質の香港映画並です。
こんなすごいアクションを単なるギャグで映画に入れちゃうとはすごすぎます!!
個人的に・・・いや・・・
この映画を見て面白かった人の大半はこの”戦う神父様(仮称)”にホレると思います。

それにしてもこの神父様は知る人ぞ知るDECOことデーターイーストの名作スプラッタホラーベルトアクション(流グロ殴りゲー)”ナイトスラッシャーズ”の華麗な足技で戦う神父”クリストファー・スミス”のモデルに間違いありません。

閑話休題。
流れるような蹴り技で次々にゾンビたちを肉塊に変えてゆく神父様!
ゾンビ化した雑魚ヤンキーどもを全て葬り去って、調子に乗った神父様はリーダーゾンビに向けて、
とどめのドラゴンキックをかまします!


「わちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

怪鳥音を上げ、飛び蹴りする神父様ですが・・・


上手く当てられず・・・



落っこちた先にあった神像の腕に貫かれ・・・。

 
不慮の事故!(チ〜ン)

神父様、リーダーを倒す事無くくなりになってしまいます。
(ナンマイダー)

とりあえず、無事だったママンとリーダーをトランキライザーでおとなしくしくするライオネルでした。


あ〜あ・・・(脱力)


よく「ミイラ取りがミイラに」などと言いますが、 ゾンビを大人しくさせに行ったはずなのに、
ゾンビを三体お持ち帰りしまいました。

えっ、三体?

そうなんです!


神父様もぬ前に噛まれてたので、ゾンビ化しちゃいました。
(ア、アホくさぁ〜)


そんな風にして増えてしまった新しい4人の家族に食事の躾をするライオネル。
ゾンビですから食い方は汚いです。
綺麗に食事するゾンビなんてきっと”ナイト・オブ・プロパー・デッド”くらいなもんです。
(誰も知らないって・・・)

クビが折れているので上手く食事が出来ない看護婦さんには
首を外して、直接喉に食事を詰めてあげます。

それにしてもトランキライザーの副作用かゾンビたちの性格は生前と変化してるのが傑作。
ママンは大人しいですし、ヤンキーリーダーは食事を取られては幼児のように机を叩いて泣く弱虫に、神父様と看護婦さんは発情期のエロエロカップル化。
ゾンビの癖に互いに色目を使って身体をまさぐってます。


そんな所に、ママンの財産を狙ってレス叔父貴がやってきます。

慌ててどうにか誤魔化して叔父貴を追い返したライオネルが見たものは
交尾している神父様と看護婦さんでした。

(映像は比較的ソフトなシーンにしました)



数日後、パキータと決別し、傷心の末に帰宅したライオネルは2人の愛の結晶が誕生しているのを見つけるのでした。
前代未聞、ゾンビとゾンビの愛の結晶。

人が生殖できるなんて聞いた事もありません。

兎にも角にも、お陰で頭の痛い事にライオネルの扶養家族は5人にまで増えてしまいました。
それでも妙に適応力のあるライオネル。
牧歌的なニュージーランドの郊外をゾンビ赤ちゃんを 鉄条網を張ったベビーカーに乗せて、散歩に連れて歩きます。
しかし、ゾンビ赤ちゃんが乳母車から逃げ出し、子供を襲って喰おうとするので屋外で大乱闘。
投げ飛ばし、叩きつけ、ロープでグルグル巻きにして、バックに詰め込み事無きを得ます。
     
そのすさまじい”幼児虐待”振りに周囲の人は眉をひそめるのでした。



やっとの事で帰宅すると、叔父貴に地下室の秘密はすっかりバレていました。

幸か不幸か、体は動いてなかったので、叔父貴はライオネルに”エド・ゲイン”のような体収集癖のある”ネクロフィリア”と勘違いしたようです。

これをネタにライオネルは強請られ、叔父貴に家を明渡す羽目になっちゃいます。

こうしてまんまと家と遺産を手に入れたレスは新居祝いのゴーゴーパーティーを開始。
(時代が忍ばれる)

その頃、地下室のライオネルは鍬の端を踏んで起き上がった柄で後頭部強打してしまうという
”トムとジェリー”のような失敗でトランキライザーの瓶を割ってしまいます。

トランキライザーを買いに出ようとしたライオネルは叔父貴に捕まり、パーティーの料理を作らされてると、酔った客の一人が地下室の扉を開けてしまい、ヤンキーゾンビのチョーパンを喰らってのびてしまいます。
パーティー会場にまろび出てきたヤンキーに慌ててバーボンを瓶ごと飲ませて、グデングデンにして地下室に連れ帰るライオネル。

流石のライオネルもこんな生活、もう嫌です!!

悩んでいる所に、フットボールの話しかできない新しい恋人を振ったばかりのパキータがやってきます。

生ける体に囲まれて地下室で生活している、祖母の占いどおりのライオネルの姿に驚いているパギータに

んではいないけど体はもう・・・」と言うライオネル。

ちょっと待てライオネル!!

お前、このゾンビたちを今まで”生きた人間”として扱っていたのか!?

目からウロコが落ちるセリフです!


食事を与えたり、躾をしたり、散歩に連れてって行ったのはその為だったのか・・・。

納得!

やっぱり、ライオネルはいいヤツですが・・・

どこか、人として大切な部分が間違っています!!

「どうしたらいいか分からない」と情けない声を出すライオネルにパキータはあっさり

すしかないわ」

いやまあそのとおりなんですがもう少し、穏やかな言い方はできないものでしょうか。

こうして2人はなぜか地下室にあった”POISON”とデカデカ書かれた瓶の中身をゾンビたちに注射して埋葬します。



ひと仕事終えた2人はパーティー会場に戻りますが、叔父貴のヘッドバットを喰らって地下室に逆戻り・・・監禁されたライオネルはさっき注射した薬の裏書に驚愕します。

さっき、ゾンビに注射した毒はなんと”動物用の興奮剤”だったのです。
何でそんなモンがここにという以前に、そんなもの果たして売られてるのかと突っ込み入れたいです!!

                                         
しかしまぁ、そんなものを注射されたゾンビたちは勇気凛々、る気満々。
水木しげるの絵のように強烈な鼻息を吹き出しながら大復活!!

                         
                      (写真はあくまでイメージ映像です。)

ついに地下室の扉をブチ破り、パーティー会場で大虐を開始。
”そういえばこの映画は一応ホラーだったんだ”と忘れてた事を思い出させてくれます。

された客も次から次へとゾンビになってしまい、まさに会場は戮の嵐。
あまりの糊の量に足がスリップして”ルームランナー状態”になってしまい一歩たりとも進めず、ライオネルはなかなか逃げられません。

一人だけまんまと屋外に逃げ出した叔父貴は倉庫にあった農機具で叔父貴はゾンビ相手に
大逆襲を開始!
叔父貴の時代がやって来ました!
叔父貴の見せ場はこれからなのです!!



その頃ライオネルは、どこまでも追いかけてくるヤンキーリーダーの内蔵のシツッコイ攻撃を退け、屋根裏に逃れます。
そこで彼は浮気している父親の写真と金髪女性の白骨体を発見するのでした。

同じ頃、生き残ったもう一人の女性とバリケードを築いて生き延びていたパキータは、皆が存在を忘れつつあったベビーゾンビに襲撃されます。
パキータのキックで吹っ飛んだベビーは椅子で跳ね返って再び襲いかかる!
そこに向けてパギータのフライパンの一撃!
カーンと乾いた音がして、フライパンがゾンビの顔型に変形しちゃいます。
のびたベビーゾンビを始末しようとミキサーの中に放り込むパキータ。
だがそれを天井の電灯にぶら下がってかわすベビー!
お主できるな!
しかし、電灯は抜け落ちてしまいベビーはミキサーの中にまっ逆さま!!
だが、往生際の悪いベビーはミキサーから飛び出す。
そこにパギータの右フックが決まり、窓から外へと放り出されるベビー!
そのまま、屋外で暴れている叔父貴の股間にストライク!!


ボスッ!!

うずくまる叔父貴の頭からヅラがズリ落ち、ベビーに装着されます。
逆上した叔父貴は怒りに燃えて植木バサミでベビーを攻撃しますが、自分のヅラを切り刻んでしまうだけでした。

このベビー襲撃の一連のシーンの流れは見事すぎます!!

こうして、叔父貴とパキータが合流する一方、天井裏のライオネルの所にはしつこい内臓が再び迫って来ていました。
しかし、逃げようとしたライオネルは電気の線が足に絡まり、天井を突き破り宙吊りに!
ちなみにこの電気の線は、パキータが立てこもっている部屋の電灯の線だったので、電灯に突き刺さって動きを止めていたゾンビも宙に吊り上げられます。

その時、終に家の壁は破られゾンビが大挙して襲ってきます!

この大ピンチに叔父貴は左手に肉きり包丁、右手で中華包丁を持って、高速で両手を振り回すと次々と繰り出す攻撃で襲ってくるゾンビたちを全てミンチに変えてゆきます。
その様はまさに”ヴァンパイアハンター”の
”バレッタ”の超必技”ビューティフルメモリー”
          
いやむしろこのシーンが元ネタか?

とにかくスゲェ!

スゲェよ叔父貴!!


とにかくこのシーンの叔父貴の狂乱振りには、戦う神父様で物足りなかった人もきっと惚れるに違いありません!!
(たぶん・・・)

こうして、レス叔父貴はなんと!
屋外から襲ってきたゾンビ全てを倒してしまいます。

そんな彼の目の前に現れて、挑発する憎き宿敵ベビーゾンビを追って、叔父貴は地下室へ。
しかし、ベビーを探す叔父貴の背後に巨大な影が・・・

そうです。
ここであの人の登場です!

忘れ去られていたママンです!!

べつに手抜きで書かなかった訳じゃないんです。
出番がなかったんです!

背後から迫るママンの巨大な鉤爪が叔父貴の股間にヒ〜ット。
叔父貴4度目の股間痛打!
他の3回は全てパキータのせいですが・・・

でも今回は、そのまま大事な部分を握りつぶされ、脊髄まで引き抜かれておくなりになってしまいます。
(チ〜〜ン)



その頃、階段の手すりを利用して、やっと宙吊りから脱したライオネルでしたが、そのままゾンビたちに外へと吹っ飛ばされてしまいます。

パキータたちも、段々ゾンビたちに包囲されて、その輪が縮んで行きます。
迫ってくる輪切りなった頭だけのゾンビを玄関へと蹴飛ばすパキータ。
しかし、もう対抗する手段はありそうにないです。

絶体絶命のその時〜!!

玄関の扉が開け放たれ、さっきパキータが蹴飛ばした頭ゾンビが床を滑って、帰ってきます。

「覚悟しろよ!」

玄関から現れたのは、逆光を背に芝刈り機を構えるライオネルの勇姿!!

今はき叔父貴を見習ってライオネルは大暴れ!
数十体のゾンビの群れを芝刈り機で大虐
・・・って、相手は体なんですが・・・

ともかく、飛び散る大量の飛沫と肉片、そして切断肢!

映画史上最大かもしれない大流シーンをギャグとしてやっちゃってます!!

この映画は!!


ライオネルの活躍で難を逃れたパキータを、背骨を引き抜いて害され、四足歩行で歩くコタツのようにされた体から垂直に首を伸ばした”遊星からの物体X”のオマージュらしき姿になった叔父貴が襲いかかります。
(う〜ん、言葉では表現し難い)

もう、ここまで来たらパキータも負けてられません!!

叔父貴の脊髄を素手でヘシ折り、ブンブンとハンマー投げの要領で振り回すと床に叩き付けて瞬

こうして叔父貴も完全におくなりになってしまいます。


おかしい人を無くしてしまった・・・。



さて、その頃ライオネルは宿敵ヤンキーゾンビ上半身との最終戦を繰り広げていました。
                   
両腕で跳躍し、襲い掛かるヤンキーを芝刈り機で防ぎ、手が届かないスターターを切断された腕を拾って引っ張ります。
再び回転する芝刈り機にヤンキーの上半身はタケコプターのようにグルグルと回ります。
散々自分を苦しめたハミ出た腸を引っ張って、回転する刃に引きずり込んで始末完了!
パキータの方も宙吊りの電灯ゾンビから出火したのをこれ幸いとガス栓を捻り、屋敷に火をつけます。

炎に包まれる屋敷。

無事だったライオネルの姿に喚声を上げ、抱きついてキスするパキータ。

まみれのグチャドロのキスシーンですが、ライオネルこれにハッスルして、僅かに残ってるゾンビの体の破片を徹底的に芝刈り機で始末。
ニコニコと鼻の下を伸ばして、笑いながら!!




一仕事終えたライオネルに、これで全てが終わったと安心するパキータ。

しかし、それをライオネルは制します。

「いや、まだママがいる!!」

そうです。

まだ、大本命が出て来てないのです。

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

床を突き破って現れた、特撮戦隊ヒーローものの怪人のように巨大化したママン。

なんちゅうか、でっぷりと太ってて・・・
”スゥートホーム”の間宮夫人が肥満になったような感じです。
(分り難い例えだ)

2人はママンに追い掛けられて、屋根の上に逃げます。

しかし、ママンは屋根を突き破って現われ二人を追い詰めます!
パキータをかばい、迫る巨大ママンに立ち向かうライオネルは

「ママがパパと金髪の女の人を風呂でしたんだ!」と告発。

ライオネルは母によって植え付けられていた偽りの記憶を拭い去り、母親に毅然と相対します!
その顔は以前の主体性のない気弱なマザコンではありません。

しかし、ママンに論理は通用しません!

「お前にはママが必要だよ」

拳で殴って屋根を傾け、ライオネルを滑り落とさせると、そのまま腹をぱっくりと開いて格納。
「よしよし、いい子」と腹を擦り、勝ち誇る巨大ママン。
すっかり御満悦になった巨大ママンは屋根から落ちそうになってるパキータの手をつついて落とそうとします。

しかし!

その腹を内側から、貫くお守りを握ったライオネルの手が貫きます。

そのままママンの身体を引き裂いて脱出!

身体をブチ破られ、燃え盛る屋敷の中へと落下してゆく巨大ママン。

パキータを抱き上げ、電線線を滑り降りて脱出する二人。
全ての災厄は燃えさかる炎の中に消え去りました。

その燃えさかる炎の中に、パキータが止めるにも関わらず、お守りを投げ込むライオネル。

「こんなものに頼らなくても僕はもう大丈夫だ。君を守ってゆける」

そう言いたげな自信ある彼の笑みで、物語は爽やかに幕を閉じます。






全身ドロドロのまみれですがね!!







 蛇足

このようにスプラッタ、ホラー、ギャグ、ブラックジョーク、スラップスティック、サスペンス、ラブロマンスががっちりと噛みあい、主人公の成長ドラマまであるピーター・ジャクソンらしい傑作娯楽映画です。

でもやっぱり、グチャグチャドロドロの妙な映画というのには変わりないのだけど。


だが!

そこが良い。



ロード・オブ・ザ・リングが面白いのは当然!
こういうお馬鹿娯楽映画でさえ、とても素敵なんですピーター・ジャクソンは。
そして、単なる馬鹿に終わらせない所がまた実に素晴らしい。
大監督になってもこういう映画をまた作って欲しいものです。


しかし、このレビューを書き終えて、ふと思ったこと。
”ピーター・ジャクソン”と”すごいよマサルさん”の”うすた京介”のギャグっセンスって、実は近いのでは?とふと思いました。
うすた京介があのノリのまま、スプラッタホラーをギャグの中に組み入れてゆけば、すごく近いノリかと。
まあ、うすた漫画にはテーマ性はありませんけどね。
ついでに人が死ぬような話も(笑) えっ?それはそうと、あのパッケージの色っぽい看護婦さんはどこにいたかって?
皆さん嫌という程、レビュー内で御覧になったじゃないですか。

確かにあのパッケージは”活躍想像図”でしたが。

しょうがありません!
ここは一つ、徹底検証してみましょう。






 ジャケット            本編内映像
     


美化 500%!!

描いた人の妄想力を素直に感心します!


                         おしまい


⇒戻りますよ