メディーバル  〜甦ったガロメアの勇者〜



 このタイトルを知っておられるだろうか?

多分、知っている人は殆どいないだろう。

目にしても、スルーしてしまいそうなインパクト皆無な名前だし。


では、このジャケットは御覧になった事があるだろうか?

            
う〜ん。イケてないジャケット。

多分手に取った瞬間、すぐに元に戻される事、必至!

ちょっと、その手を止めてジャケットをよ〜く見てみて下さい。

この中に主人公の勇者がいます。

どれでしょう?

    ・

    ・

    ・



        

改めて見なおしても何も見つかりませんか?

って、片目の潰れた骸骨みたいな変なのが立ってるだけ・・・?

ええ、そうです。

そうです。ソレが主人公です!!

あっ、ちょっと待って、棚に戻さないで!!

そのゲーム、とっても面白いんだから!!

ウソだろって?

もう、人聞き悪いんだから、これからどんな風に面白いから語るからねっ!

ねっ、聞いてお願い。

お願い!



・メディーバルって、どんなゲーム?



メディーバルはソニーヨーロッパが開発し、海外ではそれなりに好評だった3DアクションRPGです。

つまりは洋ゲーなのですがソニー製らしく、完全ローカライズ+フルボイスという、
英語と聞いただけで逃げ出す人にも安心な作りになってます。

洋ゲーと言うと・・・

・不条理に難しい。

・自由度が高すぎる。

・操作性が悪い。

などという偏見 がありますが・・・
このゲームは実に快適な操作性をほこり、難易度も程よく、自由度も高いが高過ぎはしない。
むしろ、自由度が高いお陰で、自分でクリアへの道を選べるようになっています。

しかし、そんな痒い所に手が届くソニー製にも関わらず、発売の時にろくすっぽ宣伝されなかったので、知名度はとても低いんです。
多分、電撃プレイステーションで2ページくらいの攻略記事が一度載っただけだと思います。

ちなみにタイトルにあるメディーバル(medieval)とは中世をあらわすミドル(Middle)の活用形で”中世の”という意味だが、このゲームのタイトルのメディーバルとは”MediEvil”と書き”中性的世界の邪悪”という意味合いの造語だと思われます。

英語に詳しい人は”メディーヴィル”が正しいってメクジラ立てないでてね。




・それで、メディーバルってどんなお話なのさ?



え〜、かってにストーリー語っちゃいます。

フォーテスク。

かつての彼は数々の武勲を立てた勇者だった。
しかし、悪の魔道士”ザロック”を討伐する際、ザロックの部下の流れ矢にあたり不慮の戦死を遂げてしまった。
ザロックは彼の同僚たちによって封印されたものの、志半ばに散った彼は死後の英雄が集う”英雄の館”に入ることは許されなかった。

彼の死後100年経った後、ザロックはその封印を破り復活した。
ザロックは人々の魂を奪い下僕とし、悪魔や怪物を呼び出し、死者の骸さえも手下とした。
まさにガロメア王国は地獄へと変わってしまったのだ!!

そして、蘇った死体の中にはフォーテスクの姿もあった。

彼もまたザロックの下僕となってしまったのか?

いや、違う!!

白骨死体になって、今やフゴフゴとしか喋れなくても彼の正義の心も勇気もいささかも衰えてはいないかった。
かつての戦友や伝説の勇者たちの力を借りながら、今度こそ悪の大魔道士ザロックを葬るために白骨勇者フォーテスクは奮闘するのだ。

そんな訳で主人公”フォーテスク”は

元勇者の白骨死体(死後100年経過)・・・デス。

ちょっとそこ、嫌な顔しない!

伝説の勇者が甦るなんて、日本のファンタジー物じゃありふれた話じゃないですか!!

いいじゃないですか、主人公が白骨死体のままでも!!

ちゃんと身体が残ってる方がおかしいんです!!

だいたい、なんで美形じゃなきゃいけなんですか?



俺はいいよ!白骨死体の方が!

個性的で!!
(ひらきなおり)




・白骨死体(フォーテスク)を動かしてみよう!



最初にも書きましたがゲームの操作性は快適です!

たいていの人が違和感なく操作できるでしょう。

十字キー及び左スティックで押した方向に移動。
(ダッシュもできる)

ダッシュ中に△ボタンでタックルができる。
攻撃力がある上に無敵だが、敵や障害物に当るとシールドが結構な勢いで消耗する。
敵に当てないように高速移動として使うのが吉。


×ボタンでジャンプ。


□ボタン 通常攻撃

○ボタン 特殊攻撃

特殊攻撃とは必殺技のようなもので、装備している武器によって技が変わる。
武器によっては特殊攻撃がないものもある。
このゲームでは当り具合によってダメージ変わるので、攻撃はしっかり当てる事が重要だ。

ゲーム中、拾える武器は”素手””剣””棍棒””短剣””龍の涙””生命の光”の6種類と少なく、これのみでクリアする事も可能だが、ご褒美アイテムとして強力な10種類+αの武器が用意されている。

御褒美アイテムは、各種弓矢や斧、八ンマー、攻撃魔法でそれぞれ特徴があるぞ。
これらのアイテムは各ステージの敵をほぼ全滅させると出現する聖杯をとってクリアすると、英雄の館に案内され各々の英雄から順番に授けられる。
強力な新武器から、体力の上限アップ、金や体力回復でお茶を濁される事もあるがソレはご愛嬌。

また弾数の補充は落ちているのを拾う事や、背景のガーゴイルが商人の事があるので話し掛けると売ってくれる。

さて、+αの武器とは隠し武器の”魔法のチキン”はかなり変な武器だ。
武器と言いながらこのアイテムの形は”鳥の丸焼き”
この武器を使うと、相手にフライドチキンを投げつけるという攻撃が使える。
投げたフライドチキンはなぜか爆発!!

爆風に当った敵をみんな”鳥の丸焼き”に変えてしまうという恐ろしい武器。

鳥の丸焼きを取ると極僅かだが体力が回復する。

喰っているのだろうか?

骸骨なのに!!




・こんな素敵なステージが・・・。



フォーテスクは自分の埋葬された納骨堂を旅立ち、隠しギミックに満ちた20のステージを冒険する。

1ステージは2〜30分で解ける程よい長さ。
しかし、一回ステージを通過して終わる程、このゲームは浅くない。
各ステージは隠された秘密が数多く存在し、隠しルートの謎を解き、そこに隠れた敵を倒して聖杯を出現させねば、強力なアイテムは手に入らないのだ。

でも、大丈夫。
一度クリアしたステージはサブコマンドで脱出する事ができる親切設計。
取るものを取ったらすぐに抜けられるのだ。
応用として、回復したりアイテムを補給してから脱出すると言う事もできる。

各ステージはおどろおどろしくも美しく、コミカルかつブラックジョークの効いた味付けがされている。

実にハロウィン的な”西洋のオバケ世界”だ。

想像し難い方は”ティム・バートン”の映画”ナイトメア・ビフォア・クリスマス”を思い出して頂くと良いだろう。


ここまで読んで、もし「面白そうだ、独力で解いてみたい」と思われた方が居られてたら、ここから先は読まない方が良いかもしれない。

これ以降、ユニークな謎のネタバレを一部掲載しているのだ。

ちなみに、私の作った恐らく日本唯一の完全攻略法が こちらにあるので、途中で解けなくなったら参考にして頂きたい。

さて、チト話がそれたが、全21ステージの中でもお気に入りのイカすステージをかいつまんで紹介しつつ、このゲームの魅力を語って行きたい。

ちなみに各ステージ毎に愉快なムービーが数個用意されている。



○納骨堂


このゲームのスタート地点であり、このゲームの操作を憶える為の練習ステージだ。

ここで剣、短剣、体力の上限の上がるビンが取れる。

フォーテスクの体力は生命エネルギーを瓶に詰め込んで持ち歩く事によって、増やす事ができる。
なんというか便利というか難儀な身体である。
生命力が湧き出している泉に行くと体力は一定量回復する事ができる。

しかし、ここで武器を取らなくてもフォーテクスクは武器を最初から持っている。

それは素手だ!!

左手を引き抜いて右手で持ち、棍棒として使うのだ!!

しかも、特殊攻撃で骨ブーメランとして使うこともできるぞ!!

意味?

そんなものは殆どない!!

投げても帰ってくるので何度でも使えるくらいだ!!



○教会の丘


ここのステージでは丘の上にいるボスが螺旋階段上の坂道に常に石を転がして攻撃してくる。

まさに立体版”ドンキーコング”。

転がってくる石を避けつつ、登りきるとボスは自爆してしまう根性なしだが!



○教会


最初のボス”ステンドグラスデーモン”が登場する。
その名の通り、ステンドグラスが悪魔化して襲い掛かってくるのだが、この演出が非常に美しい!!

ガラスの鋭利さ、透明感。

この美しさに私は心を奪われた。



○小麦畑


今までのステージも陰鬱だったが、このステージの陰鬱さは一際だ。

暗く垂れ込めた空、鴉の鳴き声、そして広大に広がる麦畑の虚無感。

実に不気味だ。

”スティーヴン・キング”の”トウロコシ畑の子供達”を髣髴させる牧歌的恐怖という、チト矛盾した言葉を連想してしまう。
ともかく、このステージは本気と書いてマジで怖い!!

路地に立っている案山子が襲い掛かってくるのはもちろんの事、積み藁の中からも怪物が飛び出してくる。
何より一番怖いのは、麦畑の中に一歩でも踏み込むとカサカサと麦を掻き分けて迫って来る”得体の知れないなにか”に身体を食いちぎられ、連続ですごいダメージを受ける事だ。

いる。

この麦畑には何かかいる!!

あえて正体不明なところが余計に怖い!


しかし、そんな不気味なステージにも心を和ませてくれるものがある。

中ボスとして現れる鉄巨人だ。

足音を響かせドスンドスンと迫ってくるこいつには全く攻撃が効かず、踏み潰されるしかない。

「そんな奴になぜ心が和む!」か、ですと。

確かに、こいつは無敵!

だが、それは正面からだけの話。

股下を潜り抜け背面に回るとこの鉄巨人は・・・

全く厚みありません。

ペラペラです!!

しかも、頭の後ろに何かあります・・・

剥き出しのコックピットがあって、小人がレバーで操作しているよ〜〜

こんなバカは殺してしまえ!

とっととな!!

笑いながら飛び道具で始末しちゃいましょう。

他にもこのステージには稲刈り機(麦刈り機?)が隠されており、修理するとあの恐ろしい麦畑を切り拓く事ができる。

未知の恐怖に科学が打ち勝つこの瞬間は実に溜飲が下がる。



○パンプキン谷


このゲームの骨頂とも言える”カボチャオバケ(ジャック・O・ランタン つまり・・・ハロウィンのアレ)”が大量に襲いかかって来るステージ。

地形も上下の起伏に富んで、なかなか複雑で、隠し通路もある。

次のステージではこいつらのボス。

超巨大なカボチャオバケ”パンプキング”と戦う事となる。



○眠れぬ街


モロにホラー映画の世界。

そこら辺のオッサンやオバちゃんや子供がそこら辺にある包丁とかを武器に襲いかかって来る。
これらは魔法に操られた善良な市民なので倒せるが、倒してはいけない。
まあ、倒してもこのステージの聖杯が取れなくなるだけなんだけど。



○ジャックの迷宮


ここでは、5つのリドル(謎かけ)を解かねばクリアする事ができない。

特に三つ目の象の像を動かせという謎はなかなかの傑作だ。

象を動かすには童話で象が嫌いなモノを誘導して連れて行けば良い。

正解はネズミ。

ネズミを象の像の所まで誘導すれば、象は暴れだして
壁を突き破って逃げ出し、道が開ける。



○封印の森


怪鳥の巣の卵を巣から落として割る事から、このステージの謎解きは始まる。

何重にも張られた地下の封印を解くと復活する空飛ぶ悪魔との戦いになる。

こいつには床を傾ける攻撃があるので、常に走る状態にしておいたほうがいい。
床が傾きだしたら、全力で反対側に走るという忙しい戦いだ。
相手は空を飛びながら落石などを呼んで攻撃してくる。
一瞬の隙を突いた反撃を繰り返して倒そう。



◎アリの巣


封印の森で魔女に頼まれるサブイベント。
アリの巣に潜って、琥珀の塊を採集してこなければならない。

中は当然”巨大アリの帝国”
巨大アリ対骸骨の戦士の怪獣バトル!

ホントは骸骨が縮んだけなんだけど・・・。

道中、捕まった”オノデンぼうや”(又は”ミルモ”)に大量に出会う。
全員助ければ良い事があるぞ。

ボスはやっぱり”女王アリ”
大量の兵隊アリを呼び出し、自らも蟻酸を吐いて攻撃してくる。

クリアすれば、お礼に魔法のチキンをもらえる。



○死者の沼


沼の中から這い上がってくるゾンビと戦う難関ステージ。

足場が悪い上に、キーアイテムの兜を取る度、道が途切れてゆく。
ジャンプテクが試されるだけでなく、パズルの要素もあるのだ。

このステージで特筆すべきは、開始時のOPムービーが最高!!

沼の中から太っちょの鎧ゾンビが這い出して来るのだが・・・

這い上がって最初にする事が、片足で立って耳に手を当ててピョンピョン跳ねる。

死体のくせに・・・


耳に水が入っている事を気にするなよ!!

しかし、このデブゾンビは強敵。
どんな攻撃でもダメージを与えられない。
魔法のチキンも通用しない。
斧が有効なので、連続攻撃して沼に突き落とすが吉!



〇水晶の谷


足元が透けているとても美しいステージ。

チョット怖いけど。

ここまででドラゴンの宝石を二つ揃えていると、滝の中の洞窟でドラゴンを呼び出し、戦う事ができる。

ドラゴンは通常攻撃でもダメージを与える事はできるが、それではとても倒せる相手ではない。
ドラゴンの直接攻撃も脅威だが、火炎はさらに強力だ。
このゲームでは火がつくと火達磨になって、消火するまでダメージを受ける。
ここでは手前の部屋の滝に飛び込んで消火するしかない。

実はこのステージでは棍棒かハンマーで地面を叩くと、天井が崩れるのだ。
奥で首を出している時にタイミングよく天井を崩して、ダメージを与えなければならない。

ドラゴンに勝利するともらえる宝石”龍の涙”を装備すると、炎に対して無敵の龍のヨロイに変化し、口からドラゴンブレスを吐いて攻撃する事ができる。
非常に強力だが、装備しているだけで急速に消耗し、生命力がすごい勢いで減ってゆく。

しかし、骸骨が口から炎を吐くだなんて・・・モータルコンバットみたいだ・・・。

               
               (画像はモータルコンバット4です)



〇ペリグリン城


城に入るためには跳ね橋を降ろすには、スイッチを押さねばならない。

しかし、降ろす為のスイッチは何処にも見当たらない。
あるのは穀物の山とウロウロしてる鶏のみ。

まさかと穀物の方へと鶏を追いやると・・・鶏達はガツガツと食べ。

穀物の山の下からスイッチが!

なんでやねん!!

誰だ!穀物なんか積んだ奴は!!

ここの聖杯を手に入れるためには捕まっている農民達を無事に救い出す事が必要だ。
3人の農民が焚き火の上に吊り上げられて処刑寸前。
いたぶって喜んでいる悪魔たちがスイッチを踏むと紐が切れて、農民たちは火達磨になってしまうという仕組み。
フォーテスクに気がつくと、速攻でスイッチを押そうとするので、その前に倒さねばならない。

気分は天誅だ!

悪魔の背後から忍び寄り、皆殺しにする骸骨騎士。
なんだかシュールな光景だ。

階段から飛び降りて着地と同時に魔法で攻撃するのが、ベストだと思われる。

しかし、悪魔を全滅させて、安心して農民を攻撃すると。
当たり前だが死んでしまう。
ならばとロープを切ってやると、そのまま焚き火に落下して*蓑おどり。
そのまま、お亡くなりに。

ここはハンマーか棍棒で火を叩いて、消火してから降ろすが正解でした。
(チャンチャン)

王の亡霊に謁見後、遺言に従い城を溶岩で自爆させ。

無敵のゴーレムを城壁から突き落とし、巨大カタパルトにのって脱出。

しかし、予め城門を破壊しておかないと、激突して頭を強打。

・・・のた打ち回る。

*蓑おどり・・・江戸時代、主に島原藩が隠れキリシタンに行った残虐刑。



〇幽霊船


カタパルトでジャンプした後にたどり着くのは”空飛ぶ幽霊船”
まるで”石ノ森章太郎”のアニメみたいだ。

ネットをトランポリン代わりに使い飛び跳ねながら進む。
回転するマストにエレベーターと、凄まじく立体的なアスレチックフィールドだ。

プレステの機能を実に引き出しているステージではなかろうか。

艦首のテラスに行くとボスの海賊船長と戦うことになる。
こいつを倒すには、なんと棍棒が必要だ!
実は棍棒の使い方は壁を壊すだけではない。
棍棒に焚き火で火を付けると、松明として使う事ができるという事をここまでに発見しておかなければならない。
こうして松明にした、棍棒をどう使うかというと・・・。

これで大砲に着火して、砲撃で船長を攻撃するのだ!!



 

〇時計仕掛けの城


歯車が複雑に組み合わさり誇大な時計を構成しているステージ。
時計の針は当然、鋭利なギロチンと化して襲いかかってくる。
複雑なギミックと謎に苦しめられる事だろう。
ジャンプすると吸い込まれて上のパイプから出るマリオのような所もある。

機関車トーマスみたいな列車を稼動させ、時計状になった列車の台座の針を押して回して、進路を決めて列車に飛び乗れば、目的地へと進む。

最後に最終ステージの方角に合わせて飛び乗れば、ついに最終ステージだ。



〇ガロメアの聖杯


ついに最終ステージ。

かつての仇敵”伯爵”と悪の魔法使い”ザロック”の二人を相手の三回戦勝負。
当然、これに一度でも負けるとゲームオーバーだ。

汽車にのって悠々と到着するフォーテスクに対して、ザロックはまず寄り抜きの骸骨騎士で編成された衛兵隊を差し向けてくる。

しかし、列車にのってラスボスの所に行くというのは、あの怪作”里見の謎”を髣髴させる。

それに対抗して聖杯が輝きを放ち、ガロメア王国の8人の騎士がやっぱり骸骨騎士としてよみがえる。

骸骨騎士対骸骨騎士の戦い。
味方の騎士たちは衛兵の攻撃を食い止めてくれるが、攻撃に優れた彼らも衛兵たちには体力で劣り次々に倒されてしまう。
味方の騎士が全て倒されてしまうと、フォーテスクは残った衛兵たちによってタコ殴りにされてしまい強制的にゲームオーバー!

ここは画面をよく見渡してみなければ解けない。

聖杯が生み出したものは8人の騎士だけではなく、二つの宝箱も生み出している。
宝箱のひとつには最後の切り札となる魔法『生命の光』が入っている。

使うと緑の光を放つ魔法だ。
ところが、これを使っても敵には全くダメージを与える事ができない。
それどころか、使えば使うほどフォーテスクの体力は減ってしまう。

一体、これでどうしろと?

これもまた、少し頭を捻らねばならない。

緑とはフォーテスクの生命力を示す色だ。
HPは緑で示され、体力回復の”生命の泉”の色は緑色。

すなわち、最強の魔法”生命の光”とは生命力を放出する魔法だったのだ。

さて、これをどう使うのか?

ファイナルファンタジーでは、アンデットに回復魔法を掛けるとダメージを与えられたが・・・。

もう一度、画面をよく見渡してみよう。
耳を澄ませて見よう。

真っ赤に変色して劣勢になった、味方の骸骨騎士たちが見えるはずだ。
味方の騎士たちは口々に「助けてくれ〜」と悲鳴をあげているのが聞こえるはずだ。

フォーテスクにできる事は応援だけではない!

生命の光を苦戦する味方の騎士の近くで使えば、自らの生命力を分け与える事ができる。

倒れそうな味方を探し、生命力を分け与えて回復させる作業は実に忙しいが妙に愉快。
やがて一人、また一人と味方は勝利してゆくはずだ。
数で勝れば、もはや負けはない!!

甦ったガロメアの騎士たちは、勝利の雄叫び上げると昇天し、後の戦いをフォーテスクに託し、その骸は回復アイテムへと変わった。



前座の戦いが終わると、次は復活した宿敵”伯爵”が骸骨の馬に乗って戦いを挑んでくる。
馬上から強力な攻撃をかわし、魔法を叩き込め。


衛兵達が倒れ、伯爵が敗れ、ついにザロック自らが討って出る。

ついに最後の決戦だ!

ザロックは魔術によって、ドラゴン(巨大人面イモリ?)に変化して襲ってくる。
もったいぶっただけあって強敵だ。

こいつは身体が光っている間は無敵で、その上に攻撃判定があるという厄介さ。
しかも足が速く、こちらがダッシュで逃げてても追いついてくる上、攻撃力も実に高い。
つい、ひるんでしまうが消極的な攻撃はかえって不利になる。
チャンスを逃さず勇猛果敢に戦えば、早期決着が望める。
こちらが倒される前に倒すのだ!

感動(?)のエンディングはすぐそこだ!!




☆見ろ! これがメディーバルのエンディングだ!!


●エンディング

フォーテスクの止めの一撃により、ガラガラと音を立て崩れ落ちるドラゴン。

あたりに響く金属音、飛び散るオイル、こぼれるネジと歯車。

ザロックが魔法で呼び出したドラゴンの正体は・・・なんと戦闘ロボットだったのだ!!

崩れ落ちて積み重なった機械部品の山の中から、ひょっこりと首を出したザロック。
諸悪の元凶たる悪の魔法使いはまだ滅びてはいなかったのだ!

全ての武器を破壊され、決定的な敗北を感じたザロックは城もろとも自爆して、フォーテスクを道連れにしようとする。
ザロックの呪文に轟音をたてて、城の天井が崩れだし・・・。



そして・・・



むぎゅう・・・



崩れた天井が・・・

・・・いきなりザロックを直撃・・・。

情けない声をあげて絶命するザロック。

ここのアニメーションには大爆笑!!

斬新だ。

道連れにしようとして、そのまま自爆しちゃうラスボスというのは!!


さて、崩れだす中、何とか時計仕掛けの城までたどり着く、我らがフォーテスク。
しかし、その進む先は既に崩れ去り、もう道はない。

ついにフォーテスクの足元も崩れだし、あわや最後という時・・・

フォーテスクは何者かに救い上げられる。

それは封印の森の怪鳥だった。

ザロック城が崩壊するに従い、暗雲は少しづつ晴れ、次第に呪いから開放され、徐々に元の姿へと戻ってゆく王国。
呪われた沼地は消え、邪悪な怪物は消え去り、死者は墓へと戻り、人々は心を取り戻した。
空の上から、その様子を満足げに見つめるフォーテスク。

怪鳥はフォーテスクを墓地まで、送り届けると封印の森への己が巣へと飛び去ってゆく。
それを見送るとフォーテスクは彼は納骨堂の自らの棺桶の中へと戻り、再び眠りにつくのだった。



 そして・・・。

あれから、どれくらいの時がったのだろうか?

大いなる試練を終えて真の英雄となったフォーテスクに、長らく延期されていた英雄の館への殿堂入りを許される日がやってきた。
彼を祝福の拍手で迎える英雄達。

かつての同僚たちや伝説の英雄たちはフォーテスクの英雄としての仲間入りを歓迎し、美酒を振舞う。
英雄達と楽しく語らうフォーテスク。

英雄となった今でも、その身体は骸骨のままだ。

飲んだ酒が骨の隙間から全てこぼれ落ちる身体のままでも、フォーテスクは実に満足そうに寛ぐのだった。



こうして物語は感動的に、しかも意外な結末を迎える。

フォーテスクは骸骨騎士のまま英雄になっちゃうんです。

御都合主義とかで、元には戻りません!!

異形の姿となったままのハッピーエンドというのは、かなり珍しいラストだ。
このエンディングはまさにゲームの方向性を体現し、締めくくりに相応しいラストでしょう。



・あとがき

いかがだったろうか?

昨今の日本人のルーチンワークとなりかけている思考パターンからは生まれてこないアイディアの数々を内包したゲームではなかろうか?

なかなか、お馬鹿なゲームだと思う。
イギリスかぶれの私にはかなりツボなギャグが多いが、日本人には受け入れ難いゲームかもしれない。
主人公、フォーテスクを見て、カッコいいとか可愛いとかいう賞賛もないだろう。
実際、もっと雰囲気を明るくして、可愛い主人公にすれば売れただろうと評価する人もいる。

しかし、私はメディーバルはとても完成された世界観を持つゲームだと思っているので、その意見には懐疑的だ。

日本人とはかけ離れた
”ハロウィン的オバケ世界の、英雄になりそこねた骸骨騎士の物語”

これは純国産ソフトにはない一級のエンターテイメントで、これこそが真のファンタジーではないかと私は思う。



新世紀を迎えて、何の気なしに最初に本腰を入れてプレイしたゲームが、このような楽しいゲームだった事を私は感謝したい。

個性的なゲームがどんどんなくなってゆく中、それにも関わらず存在する隠れた名作を発掘しようという気力を取り戻したのは、なによりもこのゲームのお陰なのだから。

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